撫子の花びらたち

すべての出会いは幸せのためであってほしい

好きなものに囲まれて暮らす

 昨日の夕方ようやく自分の携帯電話が修理を終えて手元に戻った。久しぶりに
戻ってきたやつはすべて不具合を直してもらい、ついでに傷が入っていた外側も
交換してもらい、一見新品の趣き。ひらくと各種ディスプレイも初期状態に戻され、
どこかよそよそしい。ただひとつ自分のものと確信できたのは手触り、持った時の
重さ加減。そうそう、この掌に収まる具合が気に入ってこの機種を買ったのだった
と確信。それから言えば、ここ2週間なんてストレスのかかる状態で電話やメールを
していたことか!昨日すぐやったのは、設定のやり直し、待ち受け画面から着信音まで
自分が選んでいたものをもう一度設定しなおしてようやく落ち着いた気分になった。


 なんて無意識に自分の好きなものに囲まれて暮らしていることか!いつの間にか
ちょっとしたものでも最大限自分の好きなものを選び、好きなように扱ってきて
いる。このささやかなぜいたくが許されているから、毎日を健やかに送れているような
気さえしてくる。


 戻ってきた携帯を傍らに置きながら家事を進める。逆にいえば、そんな風に自分の
意思をもったものを増やしていけば、自分の居場所は自分のものになっていくの
だろう。いまひとつ気分がのらない場所ほど大事にこだわっていけばいいのかも
しれない。
 愛情は持てなくても嫉妬はできる・・と言ったのはだれだったっけ?それは少しばかり
哀しいけれど、愛情は照れ臭いけれど、愛着からエネルギーを注ぎ込めるということは
あるかもしれない・・などと考えたりしている。考える?ああそうか、自分の手の中
には好きだから・・という純粋な単純なもののほかにやらなければならない、逃れ
られないという種類のものもあるのだ。
 ああ・・好きなものだけに囲まれて暮らせるというのは、それはとてつもなく幸せで
幸運で我儘で傲慢で限られた世界のことだったんだ。