撫子の花びらたち

すべての出会いは幸せのためであってほしい

興味が愛情に変わったら

 夕食後にめずらしくダンナと長話。おもに会社の愚痴。とある人が
人の話を聞かない・・とかなんとか。ああ・・あのひとってどこか
そんなとこあるよねえ・・もしどうしても動かそうと思ったら、美人
秘書でもつけて、耳元で囁いてもらわないとダメなんじゃない?なんて
冗談でいったら、そうそう、ご機嫌をとる女子事務員には手玉に取られ
そうになってたことがあった・・なんて話が出て大笑い。


 で・・ダンナの言うことには、その人は根本的に他人に対して興味
がないから、人の話も聞かないし、人を見抜く力もいまひとつ弱いよう
な気がする・・ということ。なるほど・・ひとに対する興味ね・・・。
それはなんとも興味深い説だし、案外当たってるような気がする。


 確かにわたしもダンナも人に対しては興味深々。しかしながら、少し
タイプは違う。ダンナはなにより情報として・・・わたしはどちらかと
いえば物語として・・・。私のほうが過分な感情移入をしたり、ドラマ
を勝手に感じちゃったりすることはあるな。それにくらべると、ダンナ
は、すっごく熱心かと思うと割とドライだったりする。


 興味は大事に持ち続けると愛情に変わる。どんな人間も愛おしく
思えてくる。そしておそらく、愛情を持ち続ける限り、その対象に
対する情報は更新され続けるのだ。決めつけてあきらめたとたんに
それは過去のものになっていく。また、決めつけて安心してしまえば
私自身がその対象から過去の存在になってしまうのかもしれない。


 その昔、「あなたの人に対する洞察力はすごいと思うけど、それだけ
では・・・」と言われたことがあった。もう30年近くも前の話。今に
なって思う。若かったその頃は自分のその切り取った一枚の写真のよう
な考えに溺れてしまって人は日々変わっていくことに気付かなかったの
だろうと・・。その言葉はいまでも心に残っている。人を理解しようと
する心は必要ではあるけれど、それよりももっと大切なのは、目の前に
いる大切な人としっかりと見つめあうことなんだろうと・・・。そして
目には見えない愛情というものの存在を信じることなのだろうと・・。