撫子の花びらたち

すべての出会いは幸せのためであってほしい

バレンタインデイの思い出

 今ほど流行っていなかった小さなころ、気軽に学校にチョコレートを
もってくる女の子がどこかまぶしく見えた小学校の頃。
 毎年好きな人はいたはずなのに、何にも考えていなかった中学時代。


 部活の先輩やら仲間たちにやら楽しんで贈っていた高校の頃。くじ引き
で決めた相手をこっそり替ってもらって、結構本気で贈ったのにも
かかわらず、それきり・・なんて空しいケースがあったりして(笑)。
 かたや、ファン投票のように一口50円で集めた合計金で買った
チョコを授業に来る先生方にサプライズで贈った高校2年のクラス。
こわもての先生が真っ赤になって照れたり、真面目な先生が以外と
ドキリとするようなコメントをくださったり、普段見えない男の先生の
顔を覗いた一日の思い出。


 バレンタインの翌日に、部誌に書かれた大好きだった先輩のひとこと
女の子の名前とチョコのお礼。後で聞いたわざわざその子が先輩の自宅
までチョコを届けにいったこと。今になって思うと、その事実よりも
先輩がその女の子の名前を「ちゃん」づけで書いていたことにショック
を覚えていたような気がする記憶。


 チョコひとつ渡すかどうかにも心をいためていたころにくらべると
カゴを持ってチョコを選ぶようになったこの頃って、なんて自由で
おだやかな心でいられるようになったことだろう!想いのかたちは
違うとはいえ、チョコを選ぶ心弾みをもてること、とりあえずは笑顔で
受け取ってくれる確信を持てる関係をもっていること・・はずいぶんと
幸せなことに違いない。