撫子の花びらたち

すべての出会いは幸せのためであってほしい

見るに見かねて(どんど晴れ)

 秋山を僕のビジネスパートナーです・・と紹介する
伸一。一度家族すべてで決めたことを覆そうとする伸一。


 みんなが納得する答えが出るまで・・とあいだに入る
夏美。苦痛の色を浮かべながら一度だけ・・という環。


 すべてを使い果たしたように消耗した環。夏美の前向きさと
気持ちは理解しながらも、「でもな・・」と沈み込む柾樹。


 秋山さんのおかげで・・と喜ぶ伸一と、いいえ、伸一さんの
熱意ですよ・・と返す秋山に、ことが通ったのは見るに見かねた
夏美さんがあいだに入ってくれたからよ・・と言い残し立ち去る
恵美子。伸一に寄り添う時江。


 銀行の融資を中止させた理由を話す秋山。自分が矢面に立った
伸一を守るために・・と。悪いことをしようとする人が自分を
認めさせるためには、こんなふうなすり替えをするのだと
聞いていて気づかされる。本来の物事の必要性や正当性ではなく
心の表面の一番引っ掛かりやすいところを釣り上げるのだ。
「あなたのために・・」「あなたと家族のために」「私はひとり
ぼっちだから・・」「あなたのためになればそれでいい」
 自分だけのことを考えてくれるという心地よさに酔っている
伸一。自分が伸一坊ちゃんに尽くしてきた想いに秋山の言葉を
重ねて酔ってしまいそうな時江。


 一番近いからこそ、真っ向からやり合ってぶつかってしまう
浩司。愛しているからこそむげに切り捨てることの出来ない家族。


 「でもな・・」こんなことがこんな風にまかりとおるのでは
積み重ねていくことが出来なくなるかも知れない。前向きに
何度でもはじめに戻って新たな気持ちで積み重ねていけばいい・・
そう、思いたいけれど・・。崩したくなるひとの気持ちももちろん
理解はしたいけれど、いままで積み重ねてきたひとの想いと
そしてどれほどの力を注ぎ込んで、ようやくどうなってきていた
のか・・。自分で積み重ねていない人にはその気持ちはまた
分からないのかもしれない。約束や決まり事に縛られたくは
ないけれど、ないがしろにされることもまたたまらないとは思う。