撫子の花びらたち

すべての出会いは幸せのためであってほしい

立ち枯れの木(純情きらり)


 今日も、心に残る言葉がいっぱい出てきました。桜子を守り、たね
夫婦に仙吉さんが言った「後ろ盾は、わしらです!」泣けました。
桜子との信頼関係と、店を守る人たちの誇りが感じられました。たねも
愕然としていたけれど、目が覚めた部分もあっただろうな。


 そのたねの言葉「死んでものれんは守る」。この言葉を聞いて、桜子
はたねと話し合う。「私は山長を大切に思っています。たねさんも
同じ気持ちなんじゃないですか?」と。金目当てのだんなとの
違いがくっきり。そんなだから、このだんな自分の店あっさりつぶし
ちゃったんだね。

 また、おじいちゃんの「のれんを守るとはどういうことかわかってる
のか?おまえに山長の跡継ぎが産めるのか?」という桜子への言葉。
そうなんだ。今は、女将さん、達彦さんへの愛情で山長を守ろうとして
いる桜子だけど、いずれ、達彦を待つことすら許されなくなる日がくるんだ。
それほどに、のれんを守るということは、個人を超えた目に見えない力が
働くんだ。


 昨日、かねさんが仙吉さんに預けた包みが出てきた。店に関わる
ものかと思っていたら、違った。機が熟せば、たねに店を・・という
思惑もあるかと思っていたが、それを見抜いたのも、決心したのも
桜子だった。(昨日のかねとたねの交わした念書があまりにもあっさり
たねのもとにあったのは、びっくりした、というか、これが、かねの
たねに対する気持ちかな・・と思わせられた。)


 包みの中身は、花嫁衣装と、かねから桜子への手紙。店に縛られる
ことはない、山長はあなたの好きにしていい、好きな人ができたら
これを着てお嫁にいきなさい・・・達彦は死にました・・・。もう一度
花を咲かせなさい・・と。


 来ぬ人を待つ人生は、立ち枯れの木のように寂しい・・・。


 山長で達彦を待つというのは、今の状態ではそうなんだ。桜子の本当の
生き方はどうだったか?達彦が本当に望んでいた桜子はどうだったか?
いくら、愛情から始まった桜子の山長での生活も、かねもいない今、だれも
桜子を守れない。後ろ盾になる店のみんなとともに生きるということは、
店を第一に考え、達彦すらも置き去りにして、山長のために生きることに
なってしまう。


 いまの桜子が新しい花を咲かすには、大きな転機が必要だろう。根元から
切り倒されるほどの痛みを味わうかもしれない。それでも、必ず立ち直って
新しい芽を出し、新しい花を咲かせてくれることを信じて見守りたい。
そして、その時、もし達彦が帰ってくれば・・・ただの男と女になって、
はじめから始められるのだろう・・・。