いただきます(スカーレット 1-3)10月2日放送分
お父ちゃんが連れて帰った草間さん
喜美ちゃんたちと一緒の食卓について
いただきますとつぶやく
しかしながら心ここに非ずの風情で
たっぷりと注がれたおかゆにもほとんど手をつけない
満州から引き揚げてきたとのこと
傷ついたこころがかさかさ閉ざされたまま
そんな草間さんの心に風穴を開けるのは喜美ちゃんのひとこと
素直な子どもの自分なりの考えを自分なりの知識でしゃべったこと
草間さんのかすかな微笑みが優しい
「君は鋭いね」
その草間さんの言葉は喜美ちゃんの心に沁み込む
一家の苦労をこの歳で一緒に背負い込んでしまう喜美ちゃんに
きらきらした明るいものをもたらしてくれる
心の栄養が足りないとはよく言い表したもの
それでも、このものは乏しいけれど
きちんといただきますと言い交わされる
端正な食卓のある家庭で(父母のお箸の扱いが綺麗)
ふたりはそれぞれに豊かなものを分け合っていくのだろうと思う
風が吹くところにはきっとなにかが生まれていく
余談ですが
「引き揚げてこられたんですね」という富田靖子が
めんたいぴりりの彼女と重なって見えた
役柄とはいえ真剣に演じたひとには
その経験が人間を深めるのだと感じられた