撫子の花びらたち

すべての出会いは幸せのためであってほしい

Love letter

もういちどって言ったら?


暗闇の中に浮かぶ
温かな輪郭から小さな声が聴こえる
夢の続きを見るためには
どんな言葉を選んだらいいのか
選びきれずにとりとめのないことを話す


小さな種のような想いが漂う
無くしてしまいそうになる不安とともに
胸の奥の奥でその小さな粒を確かめる


日々の時の中に埋もれ
風を受け雨を受け
忘れることはないけれど
忘れたふりをして過ごして


ある日
芽を出した双葉がひらいて
ぽろりと手紙を落とした


ああ
そうか
言葉は要らなかったんだ
温もりの輪郭に腕を伸ばし
その言葉ごと抱きしめればよかったんだ



言葉にならないLove letterは
こころよりもからだが教えてくれる
こころがこたえられなかった言葉を
からだはちゃんと受けとめていて
細胞の隅に届いた手紙に
ゆっくりと返事を書いていたんだ
時がたって
自分のからだが書いた言葉を
いまようやく自分で読んでいる