プロローグ
思いつくままに書くことにしてみよう
ふとしたときに浮かんでくるふとしたこと
それはわたしを微笑ませてもくれるし
ときには涙ぐませてもくれる
遠く懐かしい思い出でもあるし
これから起こる楽しい予感でもある
そのちいさな欠片が
何かの拍子でぴったりと心に嵌ったときに
まるで昔から決まっていたことのように
その瞬間が忘れられない時間になるのだ
ちいさなレリーフのようにいつまでも大事にしていたつもりのものが
ときには手から滑り落ちてどこかになくなってしまうこともある
ジグゾーパズルの最後のひとピースを見つけられない子供のように
いつまでも途方に暮れてぼんやりと過ごす日々もある
忘れてしまってもいいのに
気に懸けなくてもいいのに
それでもふと思い出したそのときのその心の動きに
それがどれだけわたしにとって大事なものなのか
気づかされたりもするのだ