撫子の花びらたち

すべての出会いは幸せのためであってほしい

夢で

仲たがいしたままときいていた友人を
彼のもとに連れて行った
おせっかいだとは思ったけど
いまを逃すとチャンスはない気がして
彼は何もなかったかのような笑顔で
友人とわたしを迎え入れ
もうすぐ始まる演奏の音合わせなどし始めた
なんだかとっても嬉しくなって
ギターを弾く彼らの間に入ってふたりと肩を組んだ
ええっ?って振り向く彼に
「邪魔?」って聞いたら
ちょっとはにかんで
「邪魔、じゃない」ってそのままにしてくれた


さあ、始まるよ
いくよって立ち上がった彼
ちょっとした着替えをしてから行くからと
一歩遅れをとった私は
部屋の点検をしたり
ひとと話をしたり
なかなか前にすすめない


なんやかやとじたばたしているところで目が覚めた


ああ・・・
彼が逝ってからちょうど二週間
ふた七日なのか、今日は


お見舞いに行った帰りに
ここから先へは行けんちゃんねと
出口のガラス戸の前でいつものお店の帰りのように握手して
別れて病院の庭を歩いて
ふと振り返るとまだそこにいてくれてた
思いっきり手を振って振りかえされて
それでもこれ以外にどうすることもできなかった



きっと彼は今も
気付いてふりかえればそこにいて
ずっと手を振ってくれているのだろう
ただし過去ではなく未来に
走って走って
自分の毎日を懸命に生きてこそ
彼が手を振ってくれるその場所が見える気がする


いつかもいちど本気でやりたいよな
ステージでぶっ倒れてもいいってくらいの覚悟でね


そんなふうに笑ってた笑顔が浮かぶ
ほんとにそんなふうに生きて
そして駆け抜けていったんだものね
きっとずっと忘れないから・・・