撫子の花びらたち

すべての出会いは幸せのためであってほしい

意味もなく

涙があふれるときがある
本棚からふと取り出した
昔買った詩集をめくって
母と子の穏やかなやりとりと
その幼い娘の澄んだ瞳の輝きに
湯船に浸かって何気なく口ずさんだ
昔よく歌った歌の懐かしさに


言葉にならなかった想いが
ことがらに重なってぱらぱらとこぼれる
やはりそれ以上の言葉にはならないのだけれど


忘れたわけではない
思っていないわけではない
ただ日々の波間にただよって
それをかき集めることをしていなかっただけ


雨が降って
川を流れて
海に出た後は
また空にかえって


想いもきっとそんなふうに巡る
幾度も幾度も
わたしが生きている限り巡り生き続ける