予感
明け方少し前の夜半
車の中に忘れ物をしていたのに気づいて
明けて暑くなる前に・・と駐車場まで取りに行った
涼しい空気がゆったりと動いていて
だれもいない数十メートルの道をゆっくりと歩いた
空を見上げると星が出ていた
そのまま上を向いて歩いているうちに
細かな星が数を増やしていくように見えてきた
くっきりと小さいけれどしっかりした光を放って
ああ
終わったのだ
きっとそれはわかっていたのだけれど
ずっとまえに終わっていたのだ
気づかないふりをしていただけで
いや
終わったとは思っていたけれど
いま腑に落ちた
そんな気がした
そんな分かったような分からないような
けれどもそれは大事なことのような
そんな気持ちがどこかでして
秋がかすかに始まったのだ
と
感じた
終わりは一つの区切り
終わるからこそ
またあたらしい始まりがあるのだ
夏は特に好きではなかったけれど
名残の夏の切なさは
なんとも言い難く胸をヒリヒリさせて
それは
「好き」
そう
その切なさがたまらなく
いつのまにか好きになっている自分に気づく