撫子の花びらたち

すべての出会いは幸せのためであってほしい

娘になる時間

彼岸の中日
父と母の眠るお墓に参る
上るお線香の煙を眺めながらしばしたたずむ


ふと
こころに浮かんだ言葉は
「わたし、これでいいの?」


自分でも思いがけない問いかけに
思わずこみあげるものがある


まっすぐにのぼっていたお線香の煙が
リボンを巻くように渦巻いてみたり
淡くそこかしらに散っていってみたり
二筋の平行線で上ったりとその表情を変える


そしてやがて
また綺麗な一筋の細い帯のように空へとむかう


父も母も最期までわたしを娘でいさせてくれた
そのままでいいから
あなたはあなたでしょ?

どこかから声が聞こえるような気がした


そのままの自分を許されて
その先へ進めるような気がする
時折
ちちははのむすめであることを確認して
そうしてまた日常へともどっていく


ありがとう
そうつぶやいてお寺をあとにした
まだ残る暑さの中
白い彼岸花が瑞々しく見えた