撫子の花びらたち

すべての出会いは幸せのためであってほしい

金木犀の香る頃に

先週に引き続いて
長男の母校のラグビー部の試合観戦
Bシードの誇りをかけて
新設ラグビー部に勝利した先週
さてひとつ駒を進めると
そこに待っていたのは
Aシード中のAシード
花園を狙う一角4強のチームのひとつ


ほんとにもう、
なんでこんな試合ばっかし・・
顧問の先生、指導は抜群だけどくじ運はいまいちだよね・・
などと勝手なことをつぶやきつつ、迷いつつ
それでもやっぱり見届けたくなって会場のグラウンドへ・・


お天気もいいし
人工芝とはいえ緑も綺麗です


数分遅れて到着
5分くらいで5点差か
まあ想定内
けちょんけちょんにやられても仕方ないところ
かなり頑張ってるんじゃない?
数分後、もうワントライ取られ12対0になったものの
その得点の入る時間でもわかるように相手の一方的というわけでもない
ちゃんとディフェンスしてちゃんと相手の陣地に向かっている
その後
相手陣地深く入り込む
なんとかワントライ!と思うものの
時間はかなり使えたものの逆に言えば時間をかけてもとれなかった
取らせてくれなかった相手のこれまた強さ


逆に相手にボールを渡すとかなりの確率で仕留められてしまう
いいタックルに入るもののボールはつながっている
相手がきるステップについ一緒にステップを踏み
結局は抜かれてしまう
う〜ん・・じぶんたちのペースにするのは難しい


その後、ゆっくりと相手を確認した対戦相手は
自信を持って自分たちの形でトライを重ねていく
20分近くまで12点に抑えていたのに前半終わってのスコアは47対0


ちょっと観るのもしんどい得点差
後半、どうモチベーションを上げていくか・・


しかしながら
後半もひるまない、投げ出さない
ただひたすらに目のまでのボールを、相手を追う
中盤、マイボールになる
ボールを持っての動きは一層熱がこもる
そう
このボールを持ってグラウンドを駆け巡るのも
もうこの試合が最後・・というのも見えてくる
勝ち負け以上の、絶対的な事実・・・


思い切りの良いランで相手ラインを突破する
応援席から沸き起こる歓声
相手陣地での攻防
何度か笛で切られるものの
その笛の音は「一本決めろ」と言いたげに続くマイボール



1度、ラインアウト
1度、ゴールポスト間近で
さらに、スクラムマイボールで・・・


それでもあとほんのすこしで届かないのは

メンバー交代があったとはいえAシード校のプライドと意地か・・
すぐそこまできていたボールをはるかかなたに戻され・・
もうここまでくると
どちらを応援しているのか分からなくなる
そのすべてを掛けた戦いぶりに拍手を贈るだけ・・の気持ちになる


後半スコア20対0
前半より抑えたチームに拍手
ついにゴールラインを割らせなかったチームに拍手


ひとつの花園への道が終わり
ひとつの花園への道が一歩進む


攻めても攻めてもついにトライできず
一瞬のすきに大事に前進したほとんどの陣地を戻され
トライを決められゴールキックを見上げていたとき
いちどごとにどんな想いを抱え、ひとり立っていたか、仲間と寄り添っていたか
うなだれそうになる被トライのあと
キックをして気合のこもった声を上げながらボールを追っていたとき
自分の心の中をどんな具合に整理して折り合いをつけ走り続けたか


努力が実るとは限らず
かといって投げ出すこともできず
そんなときにどう心を切り替えて
目の前の「いま」に集中していったのか


ラグビーには生きることの縮図があるようだと
こみ上げる何かをなだめながらグラウンドと空を交互に眺めていた
空の途中で切れたひこうき雲が見えた


・・・


3年前の今頃は
いや、もう少し早く終わったから少し前だけど
ひと試合なんとか勝つのにあっぷあっぷ
でもその喜びもひとしおで
次の試合は気合は入れたもののかなり悔しいというか情けない負け方だったのは
もう気持ちは打ち上げに飛んでた?(とは決して言えないけど・笑)
というこもっつらとした所帯のチームだったけど
もういまはどんなに押し込んだってうちに入りきれないほどの充実した部員
チームとしても、3年間で成長したものだなと、これはこれで感慨深い


試合が終わったらどこからか金木犀の香りが漂ってきた
校庭にも近くの公園にも金色の小さな花が咲いていた
いつか
この年の秋を思い出すとき
この試合のことと一緒に彼らも金木犀の香りを思い出すのだろうか
それとも金木犀の香りに出会った時に
ふとすこしだけ涙の味のするセンチメンタルを感じるのだろうか