蛍(カーネーション)
なんも考えられへんようになってました
昭和20年の春から夏
ああ、もう夏へと季節は移り変わっていっているのか・・
舌打ち、それも女性の舌打ちにはすごく抵抗があるのだけれど
糸子がときたまするそれは糸子の心中をあらわすのに
これ以上ないというような不思議な説得力があってスルーしてきたのだけれど
いままでで一番大きな舌打ち、これ見よがし(笑)
それでもそこまでしても生き延びるための疎開
爆撃よりはムカデの方がまだ打つ手があるというところか・・
蛍がでるんやて
と、ひとり少女のように楽しみに言うお母ちゃん
不似合いの様でもあり、救いのようでもある
そう言っていたのが梅雨の雨の中
そしていつしか夏のうだる暑さ
ホタル・・・見れたんやろか・・・
凄まじい忙しさの中で倒れそうな糸子
ネジが切れた一瞬の静寂を突くように公報・・
あの夏
どれだけのホタルが
どこを照らしていたのだろうか・・・