撫子の花びらたち

すべての出会いは幸せのためであってほしい

タイサンボク

旅先で母の好きだった花に出逢う
いい香りがしますよと言われて顔を近づけると
甘く優しい香りに包まれた
庭にあるものの大きな木で
花を間近で見たことがない
いつも大きな葉のかなたに
その季節にあるのを見上げるだけだった
母はどうしてこの花が好きだったのだろうか?
今は聞く術もないが
その苦しみに耐えたような大きな葉と
この世のものとは思えないほどの大きな花を間近にみて
父と母に包まれたような気がした


昼ごはんとすこしばかりの観光の
ほんのちいさな旅ではあったけれど
時空を超えた気分を心から感じる
ほんものの旅だった