撫子の花びらたち

すべての出会いは幸せのためであってほしい

王様と私

 いわくつきの作品。いえいえ、まったく個人的な感情なのですが。
亡くなった母親がとても好きだった映画。母が生きていたころはまだ
家庭用のビデオもそんなに普及してなくて・・いや、ビデオデッキは
あっただろうけれど(うちはまだ買ってなかった)レンタルビデオとか
まだなかったし、映画館で再映があるのを待たなければ観ることが
できなかったんだよな・・。今となっては嘘みたい。いい時代なんです
よね・・・そういう意味では・・・。


 何回か見たことがあるのだけれど、家庭教師アンナがこんなに魅力的
な女性だとは思わなかった。
「わたしもかって恋したことのある女性・・」と歌う歌は、とても
ロマンチックだった。恋したから特別なことが起こるわけではないけ
れど、恋した時に見るものは特別なものになりうるのだよね。
木々の緑も、海の青も、空の青さも、星の輝きも・・・。


 おまえはほんとに頑固な女だ・・と王様がアンナにいうのが、
「difficult woman」って言ってたのが面白かった。きっと私も
そう思われてるだろうな・・なんて思ったことある。まあ・・男に
とって女はすべて「difficult」かもしれないね(笑)。


 思わず魅力的だったのが第一王妃。男に従属しているように見えて
その実はとてつもなく広く深い心で王様のことを愛している・・・
そんな風に見えた。ただ、その王様が息を引き取るときには、もう
次の王様・・第一皇子がいるわけで、王妃はその息子にあたるその
新しい王のほうを向いてしまっていたけれど・・。


 「もっとよく知れば、きっと好きになっていたわよ」
逆に、知りたいと思うことはもう、愛し始めているのかもしれない。


 男のプライドを打ち砕いてしまったら・・それはおとこの命を
ちぢめてしまうのかもしれない・・それくらい男というものは強く
見えてその実繊細な生き物なのかもしれない・・などと思う。


 母は、この作品のどんなところが好きだったんだろう?オードリーの
マイフェアレディとデボラカーの王様と私、この二つはいつも面白い!
大好き!また観たい!と言っていた母だった。生きてたらどんな話を
できただろう?と思うのがちょっぴりほろ苦い。