撫子の花びらたち

すべての出会いは幸せのためであってほしい

オレが思うてるような女(ちりとてちん)

 好きな人が自分をどんな女と思っているのかどんなところが
好きだと思ってくれているのか分からないと、どんな自分で
いればいいのか不安でたまらなくなる。
 好きな人が自分をこんな女だと思っていると考えててそこが
自分を好きな理由なんだろうとわかったつもりでいると、そんな
自分を一生懸命やることになって、ほんとの自分が何処までなの
か,自分の気持ちをどこまで出していいのか、ちょっぴり自分に
迷いがでてきそうだ。
 自分自身だって、毎日新しい自分に出逢っているというのに!


 誰かを好きになると、好きな男にとって最高の女でいたくなる
のは自然なこと。最高の自分でいさえすればいいはずなのに、
何故か気になってじたばたしてしまう。自分の何気ない一言が
好きな女をそんな気分にさせてしまうことがあるなんて、男は
わかっているのかな?


 「おにいさんの言い方だと別れる理由を見つけにきたみたいや」
という正平に「・・?なんで?・・」という草々がおかしかった。
そんな草々を見てホッとした笑顔を見せる正平くんはすごく可愛い
かった。ほんとに世話のやける姉ちゃん夫婦やねえ・・あんたみたい
な弟がいてくれるのってホントうらやましいよ(笑)。


 順ちゃんのしっかり者ぶりと、考え深そうな顔が、今日は何だか
切なかった。「なんや、おれの名前を呼びたかっただけか」という
友春にやさしく「そうや」という順ちゃんとそれを聞いて笑う友春は
いい雰囲気だったけれど、どうも、順ちゃんのもっと深いところに
ある何かに友春はもうひとつ気付いていないような切なさを感じた。


 毎日塗り重ねられていく日々、毎日塗り重ねていく想い。それは
塗り重ねた本人にしか分からない。どんなに些細なことに思えても
ささやかなものに見えても、どんなにそのひとつひとつがかけがえの
ない大切なものであることか・・そしてそのことにいつ気付かされて
いくことか・・。
 どんなに愛していてもそのすべての想いをおなじ気持ちで見ること
は不可能だろう。しかしながら、それを本人がどれだけ大事に抱えて
生きているか、周りの人々にどんなに大事に扱われているかを知ること
によって、そしてなにより目の前にいるそのひとを理屈抜きで愛おしい
と思うことで、塗り重ねられたものを美しいと感じるのだろう。