撫子の花びらたち

すべての出会いは幸せのためであってほしい

めぐり逢い(さくら)

 決心したさくら。答えは日本に帰ること。


 大銀杏の下での偶然の出逢い、奇跡にも似た桂木との出逢い。
そして、抱擁。何も言わずともこころを確かめ合ったふたりの
満ち足りた抱擁。同じ場所での同じ行動でも、まったく違うこの
出逢い。めぐり逢えたふたり。


 古川のいつもの朝の風景。一年前の春と何も変わりはしない
けれど、すべてのひとたちが、さくらに出逢う前とは変わって
いる。さくらがハワイに戻り、そしてもういちどこの日本に
帰ってきた・・このめぐり逢い。


 さくらは変わらず咲き匂うけれど、さくらを見上げるこの心の
なんと変わったことか!そして・・またこのさくらにめぐり逢える
ことに、こんなに幸せを感じるとは・・。


 教師としてのふたり・・おとことおんなとしてのふたり・・
そのどちらともを自分の中に認め存在させ、見つめあい笑顔を
交わすふたり・・。


 季節は巡る。ひとは出逢いと別れを繰り返す。しかしながら
縁あってめぐり逢えるこの不思議と幸せ・・。日常の中にも
奇跡はそこかしこにちりばめられている。その輝きを見逃さぬよう
心と瞳を澄ませていたいと思う。