撫子の花びらたち

すべての出会いは幸せのためであってほしい

楽しいんよ、あんたとおると(さくら)

 桂木先生の彼女・・と言う嘘を、あんなにいいおかあさんについて
いるなんてもう耐えられない!!!とさくらが白状する。


 びっくり・・あきれた・・そしてがっかりするおかあさん。あんたが
慶介のお相手だときいてうれしかったんよ・・という。さくらは私が
見ても可愛いと思う。まっすぐな瞳。ご仏壇にむかう後ろ姿のひたむきさ。
心からの笑顔。煮豆を食べておいし〜い・・という、とろけそうな笑顔
なんて、思わずよしよししてあげたくなっちゃうよ(笑)。


 桂木先生と真樹子さんの話を聞いたさくら。これは二人の問題やから
というおかあさんの言葉も、勝手やけれどそのままにしておきたいと
いう気持も分かる。


 人とつきあっていくうちに、二人の思い出が増えていく。二人だけの
出来事は二人の結びつきを強めていくには違いないけれど、それはプラス
だけではなく微妙なマイナスも含まれてはいる。ましてや、たいへんな
事故と傷跡は、二人にとって消せない思い出である。新しい思い出を
ひとつひとつ重ねていくたびに想いは深まるというのに、あまりに強烈な
思い出が残されると、そのことばかりに意識がいって、今の自分の気持ちが
分からなくなってしまうことがある。


 好き!なのか責任を感じているのか・・。それはお互い苦しい。好きでも
ないのに責任で結婚するのは嫌だが、好きなのに責任で結婚したのかも
知れない・・と疑うのはもっと苦しい。(何より、この部分が恐くて
出来ちゃった婚って普通以上の二人の気持ちの確認が必要なんじゃないかと
思ってしまうのよねえ・・私は)


 「越えられると思う?」という真樹子さんに「越えられます、逃げな
ければ」というさくら。桂木先生もまた、「誰とも結婚はしない」という
ことでその思い出をフリーズさせているような気がする。おかあさんは、
その心が自然に溶けるまで、我が子が自然な判断を自分で下すことが
できるようになるまで、じっと触らずに守っていてやりたいと思って
いたのだろうな。
 二人のことだから・・というおかあさんは、自分のことはきちんと自分で
決めて責任を持つ・・という考え方で自分も生きてき、息子も育ててきた
のだろう。息子を信じていたからこそ、息子が自分できちんと答えを出す
のを見守ってきたのだろうと思う。


 どんな結果になろうとも、自分の心をごまかさずに今日を生きるために
思い出を思い出にするために、過去を乗り越える・・。真樹子さんが
ノースリーブを着る日が来るのを祈っておきます。


 恋愛に限らず、今を生き、目の前の自分をきちんと見ていてくれる
ひとといるのは楽しい。思い出に縛られるのでもなく、思惑を張り巡らす
のでもなく、ただ、その時その時の本当の笑顔で、一緒にいる人と、出逢う
人と接していければ・・と思う。「あなたといると楽しい!」って最高の
誉め言葉かもしれないなあ・・。