撫子の花びらたち

すべての出会いは幸せのためであってほしい

信じるよ(さくら)

 おれはあいつらを、こどもたちを信じるよ・・。まわりのいろいろな人
たちのいろいろな考えや心配にさらされながら、自分のこころが揺れない
ように、一点を見据えようとする桂木は、真剣勝負の前のサムライのよう
でもあった。子供を育てるということは、成長期の子供達と関わるという
ことは、大変なエネルギーがいる。言うことはなかなかきかないけれど
することは真似る。こころざしは多分伝わるのだ。


 おたおたと騒ぎまわったり、試行錯誤をやりすぎるよりも、自分が信じる
ことをいかに自分の行いを通じて伝えられるか、感じさせられるか・・。


 さくらがいろいろとしゃべろうとする横で、もういいから・・と黙って
ただまっすぐな瞳を投げかける桂木先生におとこを見た。なんの文句も
言わず、条件も出さず、ただこれを持って行け・・とお札をくしゃっと
取り出し子供に渡す桂木先生がやけにかっこよく見えた。


 ただ信じること・・この単純にして困難なこと!