空に見えるもの
夏目漱石がI Love You を「月が綺麗ですね」と訳したという話を
私が知ったのは、恥ずかしながら、漫画の中で・・。ふと気になって
検索してみたら、けっこう色々な人が触れていて驚いた。
もちろん、いつでもそう訳したらいいわけではなくて、月夜を二人で
見上げていて・・・という状況があるのでしょうけど。
その場面を思い浮かべてまたまたふと思いだしたのが内田善美
「空の色ににている」のなかで、いなくなったネコを探しに出た
おかあさんに、おとうさんが掛けるひとこと。月かなあ・・と思ったら
「星がでているよ」というひとことだった。
月も星も素敵だけれど、なにより大切なのは、ふたりで空を見上げると
いうこと。言葉にならない言葉を、空に見えるものに託す。ただ、同じ
気持ちでいることを願いながら・・・。
二人が空を見上げて交わす会話で心に残っているものといえば
「あぐり」から・・
エイスケ 雲はどこへいくんだろう・・
あぐり さあ・・それは風の決めることだから・・
雲のようなエイスケさんだったけれど、あぐりは、雲を抱く山のような
ひとだったのだろうか?それとも空のようなひとだったのだろうか?
できることなら・・雲が美しい色で浮かんでいられるような、青空で
いたい・・と思う。