撫子の花びらたち

すべての出会いは幸せのためであってほしい

妖しい呪文の似合う男(ひと)

 昨夜は、ソウルバードにてライブコンサート


 強烈なロックンロールにのせて、ストレートなラブソングを
歌うその男の胸元に、大輪の白い薔薇が輝くように浮かぶ。


 ステージ途中、ファンから贈られた、一輪の薔薇。その曲の
間、胸に抱き、次の曲との合間に、葉を落とし、枝を折り、
自分の胸元にさした。


 曲の中ではアダブカダブラ・・と呪文を唱える歌詞。だれが
使った呪文だったかしら?こんなにこの呪文が似合うひとを
今まで見たことがないわ!と考えてみたりする。


 サングラスの奥の瞳は見えない。表情はおろか、誰を見つめて
いるかすらわからない。それでも、呪文にかかってしまったひとは
私だけを見つめている・・と思うのだろう。


 終わりの近づく頃に、胸元から薔薇の花が落ちた。さりげなく
拾い、バンドのメンバーの胸元にさしてやろうとするが、上手く
いかず、ステージの上に置き去りになる。


 花は恋のようだ。突然現れ、咲き誇り、そして消えていく。
花を贈られる男は少ない。それが似合う男はもっと少ない。


 合間のMCは博多弁。恐そうなおっちゃん。それでも、魔法の呪文を
唱えると、恋の夢を歌い上げる事の出来る山善こと山部善次郎


 ちょっと、現実を離れたひとときでした・・。