撫子の花びらたち

すべての出会いは幸せのためであってほしい

季節が変わるとき

 朝が寒くなくなったのが4日ばかり前。沈丁花の香りが
甘くまとわりついてきた。いつもの年より香りが重い気が
したのは、気温や湿度の関係だろうか?


 ここ何日かは初夏を思わせるような暖かさ。昨日の昼間は
雲を運ぶほどの強い風。夜半降り出した雨・・・。あまりの
雨音に心配になって外を覗いてみたら、思いがけず暖かい雨
だった。


 入りそびれていた風呂に、夜中一人起きて浸かる。大好きな
ぬるい湯も冷めずにいてくれるようになって、安心してゆっくり
できる。ひとり鳴り続く雨音を聴きながら手足を伸ばす。


 季節の変わり方がおかしい。日本のどこかがおかしい。地球の
何かが変わってしまっている。人の心も、自然の姿も、昔のままでは
いてくれないけれど、それでもわたしはここで生きていくんだ。
 乱暴になったかと思ったのは、不器用になっているのかも
しれない・・と、春の雨にしては降りすぎる雨の音を聴きながら
大丈夫だから、大丈夫だから・・と自分につぶやく。いったい
誰にそう伝えたいのだろうか?


 まだ、自分がどうしたらいいのかわからないまま、それでも
前に進むべきだ・・と密かな決心をする。どんなに登場の仕方を
変えようと春は訪れてくれている。季節は確実に巡っていくのだ。


 朝目覚めたら、フリージアの蕾が開いていた。