撫子の花びらたち

すべての出会いは幸せのためであってほしい

芝を守る

 テレビで千葉・中山競馬場の話。競馬・ディープインパクトの記憶も
新しい有馬記念・・を裏で支える、また別のドラマ。


 誘導馬のデビューに関わるひと。それまで競走馬としてエキサイトして
走っていた馬を、まったく別の役割、静かに歩き、じっと立っている誘導馬
としてデビューさせるために調教する・・・。


 思いっきり走らせること以上になんて信頼関係の要ることなんだろうと
想像する。なまじ、あの馬の動きの感触や、走り続けようとする感覚、
ちょっとした物音にびくりとする馬の繊細さを知っていると、あの興奮した
馬たちを前にして、じっと穏やかに立ち止まっていること、落ち着かせて
いることが、いかに大変なことか見ている方がドキドキした。すごい!


 もうひとりは、競馬場の芝をもう何十年も管理しているという男性。レース
まえに、自らの足であのコースを歩き、気になる部分を触って、踏んで確認
している姿。大歓声で馬たちがゴールするなか、「すべての馬が怪我をする
ことなく完走できてよかった・・」とちょっぴり熱くなっていそうな目頭で
微笑む・・。


 静と動。表と裏。この世界はそのどちらもで成り立っている。


 次男のラグビー。ちょっぴり悩んでいるような・・。試合に出たい!と
いいつつどこか思うようにならない自分を持て余しているような子供に
なにが出来るのだろうか・・と少し落ち込んでいる母でした。


 焦ることはない、ただそのままを受け入れてやれば・・と思いながらも
本当に何もしなくてもいいのだろうか?自分の何かが、微妙に子供に
影響を与えるのではないか?プラスになれないのは仕方がないとしても
知らないうちにマイナスに・・微かな芽を踏みつけるようなことをして
いるのではないか?・・などと考えたりして・・・。


 そう、思っていること自体が、何か自分の方を主役にしたがっている
不自然さに気づかされる。彼の人生は彼が決める。親は、親の人生を生きる。
何が起こったとしても、それはその人自身のもの。親は、親のつとめを
自分の精一杯でやるだけだ。


 芝を守るように・・子供達の無事を祈るように・・。そんな風に
私も過ごして来たはずだ。今まで、試合に出ていなかった長男の
おかげで、どれだけたくさんのことを見ることができ、どれだけ
たくさんのひとたちと大切な関わりを持つことが出来たことか!
これは、人一倍いろんなことに揺れ動く私にとっての大切な
レッスンだ。長男がくれたプレゼントだ・・と思っていたはずなのに、
もう、揺れ動いていた自分に気づく。


 子供はひとりひとり違う。チームや環境もその時々に違う。決して
それまでの経験だけではやっていけない。そのことは忘れずに、それでも
それまでやってきたことも忘れずに、やっていこう・・と気持ちを
落ち着ける。大丈夫!これまでの私と、これまで一緒に歩いてきてくれた
人々と・・そして毎日成長していく、力強い子供達がいてくれる。