撫子の花びらたち

すべての出会いは幸せのためであってほしい

小さな丘に登って

 大人から見ると何でもないことに見えることも、子供から見ると
大変なこともある。何をそんなことでくよくよしていたの?と
いうようなことで、何週間もどきどき緊張していたことを覚えて
いる。忘れるくらい大したことないことなのに、時折思いだしては
胸がしめつけられるように悩んでいた頃もあった。


 人生山あり谷あり・・とよく言うけど、ほんとにひとはそれぞれの
山を登るように生きていくのかもしれない。高い山を、その魅力に
ひかれてしっかりと登り続けるひともいれば、坂道とも気づかない
ような道を何度も登ったり降りたりしながら、いくつもの山や丘を
越えていく人もいるのかもしれない。


 あたらしい一日にはあたらしいことが起こる。一度見たことの
あるものだって、あたらしい目で見ればあたらしい部分が見えて
くる。変わらないものはないし、ほったらかしにしていてそのままで
いてくれるものなんかもない。新しいものを受け入れることも、
変わらないものを守ることも、どちらもちからの要ることなんだ。


 新しい出会いを大切にするように、結んだ縁を大切にすることも
また、ひとつの出会いに他ならない・・。数限りない出会いに
驚きながらも、そのひとつひとつがまた、出会えたことが奇跡の
ような限りある愛しいものであることを忘れてはならないと、小さな
丘の上で風に吹かれているような気分で思いだしたような気がする。