撫子の花びらたち

すべての出会いは幸せのためであってほしい

やさしい声を出すキカイ

 田辺聖子さんの「苺をつぶしながら」をまた読んでいる。もう
何度も読んだ程大好きな作品なので、拾い読みをしても楽しい。
それでも、読むたびに新しい心の動きを感じるのでやめられない。


  あのう、寝る、ということは、ですね、私の場合(というか、
 女の場合というか)ともかく、優しい声が出せるから寝られる
 のだ。       


 主人公 乃里子の考えだ。やさしい声を出すキカイは、一たん
こわれたらもう修繕できなくなってしまう・・と。もっとも、
人間は、そのほかにもさまざまなキカイを持っていることにも
気づく。また、自分がそんなものを自分のなかに持っていることに
気づかなかったり、もっていても使おうとしなかったり・・と
いうことも多いだろうけれど・・・と。いろんなキカイを捜し
まわって操作方法を勉強するのもオモロイことのように思われる、と。


 感情を、機械と表現するのがおもしろいなあ。壊れたものは
壊れちゃうんだ。取り返しのつかないものも、確かにある。でも
だからといって、すべてがダメになってしまうというわけでも
ない。でも、違う機械を使っているかもしれない。う〜ん・・。


 男の人に、こんな説をきかせたら、バカにされるか、逆に
利用されるか、とにかくちょっとニュアンスが変わるかもね。
「やさしい声を出す機械?奥さん用の?どこやったかなあ?
仕事用と、よそのお姉ちゃん用のやったら、ぎょうさんあります」
な〜んてね。