撫子の花びらたち

すべての出会いは幸せのためであってほしい

おんなのおねだり

 昔のこと。淋しくなったあたしは男におねだりした。
「バラの花が欲しい」って。花屋さんの前で。ほんの一本。
男は言った。「今度の誕生日にバラの花束をあげる」って。


 あたしはバラの花が欲しかったんじゃない。
 いまここで、男があたしに花を差し出す心が欲しかったんだ。
 いま、あたしの淋しさを受けとめて欲しかったんだ。


 女がいつもしないおねだりをしたら要注意。
・・・もっとも、男には一生わかんないのかも知れない・・。
 そんなもんにつきあってられるか!ってね。
そんなもんにつきあってほしいから一緒にいるんじゃない!