撫子の花びらたち

すべての出会いは幸せのためであってほしい

堪忍(かんにん)・・(芋たこなんきん)

 夜更けの台所で、妹が姉につぶやく。「ごめんね、おねえちゃんの
おかげで学校いかせてもろたのに・・」。言い過ぎた昼間の自分を、
謝る。BGMならぬ、お供の料理は「なんばさつま」。どちらともなく、
少し笑って、気持ちがほどけていく。


 素直にものが言えて、言い過ぎた、悪かったと思ったら、素直に
謝ることが出来る人、そういう関係って素敵だ。悪かったって思う
ことはよくあるけれど、ごめんね・・ってなかなかすぐには出て
来なかったりする。大人になってそう思う。特に、親しいひとに・・。


 徳永先生、一本さげて花岡家にやってくる。お酒のあてまで
ご持参で。これももとは、謝りに来たみたい。姉妹の言い合いを
きいて、普通だったら「じゃ、わたしはこれで・・」と腰を上げ
そうなところで、「こっちきて一緒に飲みましょ、遠慮せんと・・」
とくれば、突っ込みも入るよね「ここは誰の家やねん!」。


 町子さんも、お詫びのお菓子かなんか下げて、徳永先生のところへ
やってくる。お産に立ち会っちゃうのも、ご縁のうちかな。食卓に
誘うお父さんと町子のやりとりが絶妙だったな。


 町子が徳永先生に言った言い過ぎは、普通だったら許されない
くらい、立ち入ったこと。それくらいのデリカシーもない女の人では
ないはずの町子さん。これは、これからの二人の関係が深くなる
伏線とみて間違いないでしょうね。