撫子の花びらたち

すべての出会いは幸せのためであってほしい

深見じゅん

 深見じゅんの作品は好きだ。お世辞にも洗練された絵ではない。でも、
その絵も、彼女の作品の魅力を伝えるには、いちばんだと思えるくらい
話の内容が好きだ。


 いつでも、四畳半一間の一人暮らし、大人として、人間としての
スタートに戻れるような潔いヒロインがいい。たいていは、美人でも
なく、色っぽくもなく、トレンドからはほど遠いような、田舎臭い
洗いざらしの木綿のようなキャラクターだ。


 それでも、人間として大事なものを持っている、と思う。特に
「ぽっかぽか」のあさみはスーパーヒロインだ。「くるみ」の
主人公も、本領発揮で力をつけてきている。


 きのうは、本屋でその二つを立ち読みして(また!)もう、大変だった。
このごろの「ぽっかぽか」はうっかり読んでると、泣いてしまいそうで、
要注意だ。漫画、コミック・・といいながらも、そこいらへんの小説より、
読みやすくて、しかも内容が濃くて素晴らしいものが散らばっているので、
バカにできない。


 人間も、若いからとか大人だからとかで、中身がはかれないのと同じで、
本なども、色々なジャンルでも、玉石混合だと思う。ひとつひとつ、自分の
琴線に触れたものを確かめて行くしかない。それもまた、出会いのひとつ
である。