音楽という名の希望(純情きらり)
ピアノ線の供出を言いに来た隣組の面々。
病院で、音楽で兵隊の手や足がもとどおりになるか、と言う隣組長。
それでも、桜子は音楽で力づけたいという。みんなが、苦しんだり、
寂しがったり、お腹をすかせたり、そんな辛い時代だからこそ、音楽を
聴くことで、いくらか心が安らげば・・と願っている。遠くにいる、
達彦さんにも、どうぞ届きますように・・と。
鈴村さん親子も、それぞれに傷ついているのだろう。こんなことなら
いっそのこと・・という父の本当の気持ちはどこにあるのだろう。思う
ままにならない時代の、いらだちが言わせるのだろうか。何もできない
歯がゆさが言わせるのだろうか。
鈴村さん(息子)と杏子の関わりも気になるところ。「ひとりぼっち
なのは、あなただけではありません」という杏子の言葉は、鈴村の心に
ちいさなちいさな風穴を開けたようだ。戦地から帰ってきた兵隊さんたちは、
体だけでなく、心にも傷を負っている・・という杏子。毎日いろんな人に
接している杏子にしても、やはり鈴村の存在は気になっているようだ。
桜子の編曲する曲は「ふるさと」らしい。みんなの心に染み渡り、
洗い流し、しこりを溶かしてくれることを祈っている。